遠すぎたら終わりが見えないし、はじまっているのかもわからない。
君とはじめての初詣は、今年はじめてのデート。
お願い事は決まってる。
でも少しだけ不安なんだ。
いつもはなにもしていないのに、こんなときにだけお願い事するなんて。
神様は怒らないかな。
君との距離はいつもより近い。
時折、手と手が触れる。
でも嬉しいくせに気づかないフリをしてしまう。
神様、ありがとう。
ここにいる大勢の人は神様に会いに来ているから。
人気者の神様のおかげで俺と彼女の距離は必然的に近くなる。
俺は罰当たりな人間。
こんなときだけ神様にお願いするなんて。
俺は欲深い人間。
君ともっと近づきたいと思っている。
手が触れるだけで喜んでいたのに。
去年の今頃は君と初詣に来られるなんて思ってもいなかった。
思ってはいたけど、それはただの願望だったから。
神様のおかげか、君のおかげか、俺のおかげか、たまたまか。
俺はこうして君と初詣に来ることができている。
その頃を思えば、俺の願い事は叶っている。
神様、ありがとう。
やっぱり初詣はここにして正解だったかもしれない。
去年、友達と来た時のお願い事は、今この時のことだったから。
やっぱり俺は欲深い。
去年のお願い事が叶っているというのに、今はまた新たなお願い事をしようとしている。
もっともっと君と近づきたいって。
去年のことを思えば、だいぶ近づいたのに。
今しか見てもダメなんだ。
未来ばかり考えてもしんどいんだ。
時には過去を顧みることで安心できることもある。
過去を思うことはマイナスなことじゃない。
過去を思ってプラスにすればいい。
それでもここに来ているってことは。
こんな時だけ神様にお願いするってことは。
神様、ごめんなさい。
俺はやっぱり欲深い人間だ。
君には、ありがとう。
こんなに欲深い俺と一緒に初詣に来てくれて。
できることなら、来年も一緒に来よう。
手を繋いで来よう。
来年の今頃は、きっともっと欲深くなっているだろうけど。
来年の今頃に、去年の今頃のお願い事が叶っていると思えますように。