雨上がりを待ち望む。
雨は嫌い。
雨が降ると、君はデートをドタキャンするから。
いろんな理由をつけては、デートをキャンセルする。
急用ができた。
どんな用事かは教えてくれない。
体調が悪い。
お見舞いには来なくていい、と言う。
親戚が亡くなった。
君にはたくさん親戚がいる。
いろんな理由をつけては、デートをキャンセルする。
当日に。
キャンセルされた日は、いつも雨降り。
そして、とうとう。
ネタが尽きたのか。
何かを感じ取ったのか。
服が濡れるから。
君が電話越しに言う。
きっと心の底からの本心。
……そう。濡れてもいい服に着替えたら?
一応、君に言う。
今日はこのワンピースを着るって決めてたから。一番のお気に入りなの。
俺とのデートに一番お気に入りの服を選んでくれたことは嬉しいけど、そのワンピースを着た君に会えないのなら、意味がない。
……そう。じゃあ車で迎えに行くから、映画か水族館に行こう。それだったら濡れなくて済むでしょ?
どこも冷房が効きすぎて寒いの。このワンピースだけだと寒いの。今日は雨だから、余計に冷房強めのところが多いから。
……そう。
俺の言葉を聞いていたのか、そうじゃないのか。
君は明るい声のまま、電話を切った。
だから雨は嫌いなんだ。
止まない雨はない、なんていうけれど。
俺は今すぐに、止んでほしいんだ。