特別なことだから、なおさら。
「スキ」だなんて簡単には言えない。
「キス」をするほうがわかりやすいだろ?
君はなかなか「スキ」って言わない俺に不満を覚えているだろう。
だけど、これだけは覚えておいてくれ。
「スキ」の反対は「キライ」じゃない。
「スキ」の反対は「キス」なんだ。
「スキ」じゃないってことじゃないよ。
そもそも反対じゃないんだ。
裏側なんだ。
「スキ」の裏側は「キス」。
わかるかな?……わからないね。難しいね。
じゃあ「スキ」ってずっと言ってみな。
スキスキスキスキスキスキスキス…。
ね?わかるかな?……わからないね。難しいね。
言葉は難しいんだ。
言葉で言うのは簡単だけど、難しいんだ。
言葉じゃない。態度で示すんだ。行動で伝えるんだ。
そのほうがわかりやすいだろ?
伝わりやすいだろ?
言葉は軽くて、とても重たいんだ。
「スキ」だなんて軽々しく言えないよ。
適当なことも言うし、嘘もつくけれど、これだけは別物なんだ。
君に「スキ?」って聞かれたら、俺は君に「キス」をする。
なにかを誤魔化しているわけじゃない。
言葉の軽さを、重さを、わかっているつもりなんだ。
だから俺はこれからも君に「キス」をする。
何回も、何十回も、何万回も。
君が俺の本当の気持ちをわかってくれるまで。
「スキ」って言葉じゃ足りないから「キス」をするんだ。
だから「スキ」って言わなくてもわかるだろ?
俺が君に「キス」をする理由が。
まだわからないかい?
じゃあ、わかるまで俺はずっと君に「キス」をするよ。
俺が君を「スキ」なことをわかってくれるまで、ずっと。
何回も、何十回も、何万回も…。