いろいろ違うから、いい。
俺と君は、なにかと合わない。
趣味も嗜好も思考も志向も。
それっていいことだと思わない?
趣味が合うほうがいいって言われがちだけど。
好みが合うほうがいいって言われがちだけど。
俺はそうは思わない。
違うほうが楽しいでしょ。
俺の好きなものばかり固執してきたから、こんな俺になったんだ。
小さくて狭い世界で生きてきたから、こんな俺になったんだ。
小さくて狭い世界で生きてきて、君に出会えたのはラッキーだった。
今までの俺の世界には、君みたいな人はいなかったから。
君は俺に新しいなにかを与えてくれる。
もちろん全部受け入れられるわけじゃない。
受け入れ難いものはたくさんある。
でもそれ以上に、そうじゃないものがある。
俺はその発見が楽しいんだ。嬉しいんだ。
君は俺とは正反対だ。
人にやさしい。
すぐに怒らない。
友達が多い。
野菜が好き。
酒が好き。
おしゃれが好き。
歌が上手い。
映画が好き。
いくらでも出てくるよ。
俺と君じゃ共通する部分のほうが少ない。
価値観だって、好きな料理だって、音楽や映画だって、俺と君は合わない。
そんな君と一緒にいることは楽しいんだ。
形がまったく違う俺と君は、きっと、パズルみたいにピタッとはまってるんだ。
形が似ていたらはまらない。
形が違うからはまる。
形が違っても相手に合わなきゃはまらない。
俺のいびつで不格好な形に、君がピタッとはまったんだ。
君のきれいな形に、奇跡的にいびつな俺がピタッとはまったんだ。
俺と全然違うから君に惹かれたんだ。
俺に似てないから君に惹かれたんだ。
俺が持ってないものをたくさん持っているから君に惹かれたんだ。
君もそうだろ?
数少ない共通点はそこだろ?
そうであってほしいと願っているよ。
俺と君は2ピースしかない、とても簡単なパズルなんだ。
間違えようがないだろ?
俺が君を選んだのと同じだよ。
間違えようがないだろ?
これだけ俺にきれいにはまる相手は君しかいないから。