小さいころは間違い探しが得意だったんだ。
なにが変わったのか、よくわかってないんだ。
ごめんよ。
君のことに興味がないわけでは、決して、ない。
むしろ、ありあり。
でも気づかないんだ。
気づかないというよりわからない。
ネイルが変わった?
ああ、たしかに。言われればわかる。
前髪切った?
そう?なんか雰囲気違うなとは思ったよ。
分け目?
わからん。
メイク?
……。
なんとなく、いつもと違う気はする。
それがどこかはわからない。
間違い探しのように、比較するものがあれば話は別。
記憶の中との比較は、なかなか難しいよ。
なにかが違うっていうことはわかる。
季節と一緒。
なんとなくあったかくなってきたな、とか、寒くなってきたな、とか。
具体的な温度はわからないけど、体感でわかる。
それと同じだ。
体感。そう、感覚。
具体的じゃなくても、感じるものはある。
君の機嫌もそうだ。
機嫌が悪そうだな、っていうことには敏感。
なんで悪いのかはわからない。
それが俺のせいだったとしても、わからない。
それが余計腹立つんだろうね。
心当たりは…………。
ありすぎてわからない。
ごめんよ。
毎日のように見ているとわからないんだ。
1か月とか2か月とか空けば、俺でもわかると思うよ。
そんなのは嫌だけどね。
これからはなるべく見るようにするよ。
これからはなるべく気づくようにするよ。
小さな変化の連続を見逃して、結果的に大きな変化になってからだと、俺はきっと後悔するから。
だから俺が君の小さな変化に気づいたら、俺のことを褒めてくれよ。