届かないとわかっていても、一応手を伸ばしてみるしジャンプしてみる。
「会いたい」って呟いても、届かない。
「好きだ」と叫んでも、届かない。
俺の声はいつまでも君には届かないんだ。
俺の声が小さいのかい?
俺の想いが足りないのかい?
君が悪いわけじゃないんだ。
そこに義務や同情は存在しないから。
君はなにも悪くない。
俺は自問自答する。
君の想いを無視してまで届けるべきものなのか。
君の気持ちをスルーしてまで伝えるべきものなのか。
きっと君には俺の本当の声は届いていないんだ。
君のことを想っているはずなのに、一方的に俺の想いを届けたいと思っている。
昼間は街の雑踏が俺の声をかき消す。
夜は闇が俺の声を飲み込む。
どうすればいいのだろう。
どれだけ叫んでも届かない。
声が枯れても伝わらない。
手を伸ばしても届かない。
背伸びしても、しゃがんでも、届かない。
空を見上げてみても、君の姿は見えない。
本当に君のことを想っているのなら、俺のやるべきことはきっとひとつしかない。
俺の声はどこに消えたの?
俺の声はどこへ飛んでいったの?
俺の声はどこを彷徨っているの?
この世を俺の声で埋め尽くしたら、きっと君に届くよね。
この世から俺の声がはみ出たら、きっと君に届くよね。
君はなんて言ってるの?
聞こえないよ。
時差があるの?
どれくらい経ったら、俺に届く?
だからもう少しだけ、言い続けてもいい?
君の声が俺に届くまで。
俺が飽きるまで。
「会いたい」と。
「好きだ」と。
もう少しだけ。もう少しだけ。