自分の後頭部は一生自分では見ることができない。
同じものを見ていたはずなのに。
見る位置が違うから、こんなことになったのかな。
表と裏。
そこまで違わなくても、少しの角度の違いが大きな違いを生み出すんだ。
どっちが表でどっちが裏?
お互い表って思ってるでしょ。
どっちも表ってないから。
どっちかは裏なんだ。
お互いそれを認めない。
認めないっていうか、わかってないんだ。
それでしょっちゅうケンカになる。
きっかけは些細なこと。
だって見えているものが違うから。
すれ違ってばかり。
交わることはない。
だって見えているものが違うから。
ひとつの面しか見えなかったら、どれほど楽か。
同じものを同じ方向から見たら、きっと答えはひとつなんだ。
でもそれじゃ、どんなものでも面白くなくなっちゃう。
同じ面ばかり見ていたら、なにも思わなくなるんだ。きっと。
君のやさしさや思いやりを見つけることができなくなる。
こっそりやるでしょ、君。
俺は知ってるよ。
気づいてるよ。
ありがとう。
でもそうじゃないときもあるよね、君。
俺は知ってるよ。
気づいてるよ。
それは俺もだから、おあいこだね。
俺は君を見てるから。
同じ君のいろんな面を、見てるから。
きっと君が見ている君と、俺が見ている君は違うのだろう。
君が君を見ている以上に、俺は君を見てるから。
君のことをどう思おうが、俺の勝手でしょ。
だって同じ君を見ているのに、君と俺とじゃ見ている角度が違うから。
どっちが表でどっちが裏?
どっちでもいいんだ。
君は君だから。
同じものを見ているはずなのに。
君は笑い、俺は怒る。
君は哀しみ、俺は喜ぶ。
ひとつの面だけじゃ、きっと面白くない。
俺は君の知らない君を知っているから。
いろんな角度の君を知ってるから。
だから面白いんでしょ?