人の恋路を気にするほど、俺の路は舗装されてない。
「誰かいい人紹介してくれない?」
って俺に言う?
これだけ君に対する雰囲気醸し出しても気づかない?
そんなところに惹かれたのかもしれないけれど。
けっこう酷だよ。
間違っても「俺じゃダメ?」なんて言えないし。
負け戦に自分から行くほど、度胸はない。
冗談っぽくだったら言えるかもしれない。
そのときはうまく断ってよ。
冗談として受け取ってよ。
気まずくなったら嫌だから。
やっぱりやめとくわ。
君の手を煩わせたくないから。
君に気を遣わせるのは申し訳ないから。
冗談ですら言う度胸はないから。
誰を紹介しようかな。
確かに知り合いは多いよ、俺。
だから俺に言ったのかな。
君に合いそうな人を探してみる。
君が気に入りそうな人を探してみる。
なんか条件はある?
芸能人で言うと?
髪型は?
体型は?
性格は?
そんなに気にしないって言っても、絶対気にするでしょ。
やさしい人?
ショートヘア?
細マッチョ?
浮気しない人?
君を大切にしてくれる人?
思った以上に出てくるね。
誰でもいいってわけじゃないんだね、やっぱり。
そんなところに惹かれたのかもしれないけれど。
何人か浮かんだよ。
さすがに芸能人レベルのビジュアルはいないけれど、みんなかっこいいと思うよ。
少なくとも俺よりかは。
君の隣に相応しいよ。
見た目も、性格も。
みんないい奴だから。
きっと君も喜んでくれる。
誰がいい?
きっと君なら誰にでも受け入れられるだろう。
君は気づいていないけど、隠れファンは多いから。
俺もその中のひとりだけど。
いつがいい?
なるべく早くがいいよね?
でも、もう少し待ってもらってもいい?
これをネタに、君と話せることが増えるかもしれないから。
ごめんね。
卑怯なんだ、俺。
君の気持ちより俺の気持ち優先なんだ。
だって紹介したらすぐに君は俺の手の届かないところに行っちゃうでしょ?
君が気に入ったら、それで最後なんだ。
君は人気者だから。
簡単に想像できるよ。
俺が紹介した人と君が並んでいる姿が。
簡単に想像できるよ。
ふたりで楽しそうに笑っている姿が。
簡単に想像できるよ。
それをひとりで見ている俺の気持ちが。
やっぱり、やめようかな。
君に合いそうな人を紹介するのは。
君が好きそうな人を紹介するのは。
俺はそんなに人間ができていないから。
やっぱり、言ってみようかな。
俺じゃダメ?って。
ダメ元で。