薔薇という漢字は書けるが、ひまわりは書けない。
道端に咲いている花がキレイだった。
普段はあんまり思わないけれど、キレイだった。
思わず足を止めるほどに。
それでも俺は、その花の名前を知らない。
名前を知らなくても、これだけキレイって思える。
そう思うと、名前なんてただの記号でしかないのかもしれない。
多くの人々が花を愛でているからこそ、世界にはこんなに花があるんだ。
そこらへんを歩いていても、たくさんの種類の花が咲いている。
その数だけ人の思いが詰まっていて、その数だけきっと名前があるはず。
でも俺は花の名前を知らなかった。
でも俺はその花がキレイだと思った。
君に対しても同じなのかもしれない。
はじめは名前なんて知らなかった。
それでも俺は君をキレイだと思った。
名前なんて知らなくても、思った。
俺は名も知らぬ君に目を奪われた。
この想いはきっと本物なんだ。
君の名前を知ったらどうなるんだろう。
君の名前を知りたい。
新たな想いが乗っかって、君への想いが強くなった。
名前を知ったら、ほかのことも知りたくなるから。
君の新しいことを知ったら、また新たな想いが乗っかる。
この想いもきっと本物だ。
名前を知らなくても、キレイだと思う。
名前を知ったら、もっとキレイだと思うのか。
答えはもう知ってる。
名前はただの記号じゃない。
君と出会ったから、俺は答えを知っている。