世の中はラブストーリーで溢れている。
誰に視点を置くかでラブストーリーの捉え方は変わってくる。
作り手はもちろん主役の視点で描いている。
ヒロインを奪い合う男たち。
または、その逆。
一喜一憂する男たち。
または、その逆。
どんな映画だって最後には誰かと誰かが結ばれる。
だってラブストーリーだから。
もちろん、ほとんどが主役と。
「そりゃ、そうでしょうね」ってなる。
おかしいな。
俺は主役なはずなのに。
『俺の人生』というダサいタイトルの主役なはずなんだけど。
「そりゃ、そうでしょ」ってならない。
俺は主役じゃないのかもしれない。
『俺の人生』というタイトルですら、俺は脇役なのかもしれない。
じゃないとおかしいでしょ。
主役が恋に破れてばかりじゃ、おかしいでしょ。
誰かを引き立ててばっかり。
なにもできず、見つめるだけの男。
そんなストーリー、おもしろくない。
誰に視点を置くかでラブストーリーの捉え方は変わってくる。
一般的にはハッピーエンドなんだろう。
でも俺は脇役に視点を置いてしまう。
……全然ハッピーじゃない!
笑いながら「良かったな」なんて言えない。
「俺のことはいいから、あいつのところに行けよ」なんて言えるわけない。
そんなに人間できてない。
そんなに余裕ない。
いつだって俺にとっては、最後の恋なんだ。
そんな簡単に諦めることなんてできない。
もう主役でも脇役でもどっちでもいい。
俺の映画はまだ終わっていない。
結ばれて終わるなんて、実際にはない。
実際には、そのあともストーリーは続く。
まだ途中なんだ。
『俺の人生』はまだまだ続く。
続編を作るか、まったく別の新作を作るか。
主役でも脇役でもどっちでもいい。
決まっていることは、ただひとつ。
引き続きヒロインは君を予定している。
だからスケジュールを空けておいておくれ。