良いことだけを信じるのはポジティブなようで実はネガティブ。
君のことはけっこう知っているつもりだったけど。
俺の知らないところでいろんな人が君のことを教えてくれる。
君は人気者だから。
俺の話なんて少しも出てこないのに。
少しだけ羨ましいよ。
俺の知らない話をいろいろ聞かせてくれる。
頼んでもいないのに。
良いこともそうじゃないことも。
でもほとんどは良いことだよ。
だって君は人気者だから。
俺が惹かれる理由が少しはわかるだろ?
君のことは全然知らないけれど、けっこう知っていたりもする。
でもほとんどは聞いた話なんだ。
だからそれが本当かどうか確かめる必要がある。
自分の目で確かめないと気が済まない性質なんで。
どうやって確かめようか、いつも考えている。
誰かが教えてくれた君のことを。
その術は、いまだにわからないままだけど。
良いこともそうじゃないことも聞かせてくれるから。
俺の気持ちを知ってか知らずか。
だから俺は良いことだけを信じることにした。
占いと同じ。
良いことだけを信じるってポジティブのように感じるけど、本当はネガティブだと思うんだ。
良いことばかりを信じるのって、悪いことから目を背けるってこと。
悪いことも受け入れた上で、良いことに目を向けるっていうのが本当のポジティブなはず。
だから良いことばかり信じるっていうことは、悪いことから目を逸らす、ポジティブの皮をかぶったネガティブ。
それでも俺は良いことばかりを信じる。
ネガティブだとわかっていても、そうする。
君のいないところで君の良いことを聞くのは、自分のこと以上にうれしいから。
もちろん悪いことも受け入れるよ。
誰にだってあることだから。
俺に比べたら、君の悪いところなんてほんの少しだろうけど。
でも、聞いたことを君に確かめることは、ない。
君に聞く術がないこともあるけれど、それ以上に大きな理由がある。
俺の意見ではないからだ。
誰かが言ったことで、なるほど、と思うことはある。
そこに目をつけるか、と感心することも正直ある。
それらは、こっそりいただく。
君には伝えないけれど、参考にはする。
良いこともそうじゃないことも。
良いこともそうじゃないところも、その人の受け取り方で変わるから。
あの人にとっては君の悪いことでも俺にとっては良いことなんて、ざらにある。
あの人にとっては良いことでも俺にとっては悪いこと、もあるだろう。
でも君が俺じゃなくても誰かのために良いことをしたことは事実だから。
だから俺は君に惹かれた。
だから俺は聞いた話を君に伝えることはしない。
君のことをもっとよく知るために。
それをいつか自分の目で確かめるんだ。
俺はネガティブ。
自分でもわかってる。
でも、これはきっと、数少ないネガティブなことじゃないやつなんだ。