xとyの共通項を求めよ。
俺と君には共通項がない。
俺は寒がりで、君は暑がり。
いつも室温は上がったり下がったり。
でも大丈夫。
俺がもう一枚服を着れば済む問題だから。
食の好みも合わない。
俺の好きな食べ物と君の好きな食べ物。
両方ある店に行けば大丈夫。
お皿に残った最後のひとつで譲り合うこともケンカすることもない。
食の好みは合わないから。
俺の好きな食べ物は君の嫌いな食べ物。
君の嫌いな食べ物は俺の好きな食べ物。
何の問題もない。
共通の趣味なんてひとつもない。
それぞれが好きなことをやればいいから、問題はない。
それに、君と一緒にいる時間以外にも好きな時間があるって素敵でしょ。
好みの香りも違う。
香水や芳香剤の香り。
まあ、どっちでもいいよ。
好みはあるけど、どっちも良い香りだから。
洋服の好みも違う。
そもそも好きな色が違うから。
俺も君も同じような色の服ばかり。
少しだけ君のほうがバリエーション豊かかな。
何の問題もない。
ペアルックなんて、恥ずかしくて着れないから。
同じところなんてなくてもいい。
すべてが同じである必要なんてない。
でも正直言うと、少しだけ同じところが欲しい。
君との共通項が。
君と同じことで悲しみたい。
君の悲しみをわかりたいから。
君と同じところで笑い合いたい。
どんな小さなことだって、いい。
くだらなければくだらないほど、いい。
そうやって君と笑い合っていきたい。
同じところなんて、それくらいでいい。
それだけあれば、俺は充分だ。