レアだから良いか、と思える単純さ。
どっちが本当の君なのか。
君は俺の周りですこぶる評判が良い。
やれ、愛想が良いだの。
やれ、気が利くだの。
やれ、やさしいだの。
やれ、かわいいだの。
みんな知らないんだ。
本当の君を。
俺の前とみんなの前では、君の態度は全然違うから。
俺の前では。
愛想は良くない。
気は利かない。
やさしいわけではない。
みんな知らないだけなんだ。
本当の君を。
俺と一緒にいるときの君を。
みんなに言ってやりたい。
俺の前ではこうだよ、って。
でも、言わない。
人によって態度を変えるのは良くないと言われるけれど。
俺はそうは思わない。
君に限っては。
俺の前での君と、それ以外の君。
どっちが良くてどっちが悪いかなんて、わからない。
わかっていることは、俺の前とみんなの前では君の態度が変わるということ。
どっちが本当でどっちが嘘かなんて関係ない。
関係あるのは、君が俺といるときだけ態度を変えるという事実だけ。
良くも悪くも、君は俺に甘えている。
関係あろうがなかろうが、君のその一面を見られるのは俺だけ。
だから俺は、君が俺だけに見せるその態度のことを誰にも言わない。
俺と君だけが知る事実。
俺と君だけの秘密。
周りに評判が良いのはキープできる。
俺の評判も良いまま。
君にとって、悪い話ではないでしょ?
ああ、そうだ。
みんな君のことを、かわいい、と言う。
それだけは同意していることを、一応知らせておくよ。