回りまわって初心に戻る。
回転寿司へ行く。
俺も君も好きだから。
うに、まぐろ、えんがわ、鉄火巻き…。
俺は好きなものをタッチパネルで注文していく。
けれど、君はタッチパネルには触れずにいる。
レーンに乗って回っている皿を見つめる。
あれ、おいしそう。
これも、おいしそう。
君はそう言いながら吟味する。
俺の目の前には何枚もの皿が並んでいる。
君の前には一皿だけ。
君はレーンから一皿取って、食べきるまで次の皿には手を出さない。
どうしてこっちで頼まないの?こっちのほうがきっと新鮮だよ。回りっぱなしのそっちよりも。
俺はタッチパネルを操作しながら君に言う。
大して変わらないよ。店側もそんなヤバそうなものは回さないでしょ。
そう言って君は新たな皿を取る。
でも、せっかくここに来たんだから。
俺はタッチパネルから手を離し、目の前にある寿司を食べる。
ここに来たからこそ、こっちを選ぶのよ。ここは、回転寿司、だから。
君はそう言って、口をモゴモゴさせながらレーンを見つめて次の獲物を探す。
こっちもおいしいよ。
君は笑いながら俺を見る。
その姿を見て思うんだ。
君のそういうところに惚れたんだった、と。