見た目と感情と表と裏。
かなしくて泣いているわけではない。
うれしくて泣いているの。
それくらいはわかるよ。
だから言わなくてもいい。
わからないのは。
君がなにをかなしく思って、なにをうれしく思うのかっていうこと。
泣くほどかなしいこと。
泣くほどうれしいこと。
そこは、わからない。
君の誕生日に欲しがっていたネックレスを贈ったとき。
君はうれしそうだった。
でも、泣いてはいなかった。
仕事帰りにたまたま見つけた名も知らぬ花を持って帰ったとき。
君はうれしそうな顔で泣いた。
昔、俺が別れ話を切り出したとき。
君は涙なしの、かなしそうな顔をした。
昔、君が別れ話を切り出したとき。
君は涙を流しながら、かなしそうな顔をした。
涙があろうがなかろうが、優劣なんてないけれど。
なにもわからないままでいる。
うれしいときは笑って。
かなしいときは泣いて。
わかりやすいことばかりじゃない。
うれしいときは泣いて。
かなしいときは笑って。
それをされたら、きっとわからない。
訂正するから、やっぱり言ってほしい。
かなしくて泣いているわけではない。
うれしくて泣いているのよ、と。