隣人のことは生活リズムくらいしか知らない。
君がついたウソを問いただすことができない。
いつもの君とはなにかが違った。
証拠なんてない。
だから探すんだ。
揺るぎない証拠を。
君がウソをついていない、という証拠をかき集める。
これまでよりも、君の一挙手一投足に目を配り。
神経を張り巡らす。
そこで気づくんだ。
証拠じゃなく。
これまではなんだったのか、と。
これほどまでに隣にいる君のことを見たことがなかったことに。
新たな発見がいくつも。
癖や表情や仕草や。
ずっと見ていたら。
君はウソをついていないのではないかと思った。
そう思った。
そう思いたかった。
証拠なんてない。
どうせ君を問いただすことなんてできない。
だから証拠を探していた。
君はウソをついていない、という証拠を。
まだ証拠は見つかっていない。
それでも新たな発見があった。
君の一挙手一投を注視して。
証拠なんて見つからなくても。
それはそれで良かったのかもしれない。