数年後、十数年後、数十年後。
君といろんな話をしてきた。
子供の頃。
君はおてんばで俺は大人しくて。
今は逆に見えるけど、きっと偽りなんだね。
部活。
君はバスケットボールで俺はベースボール。
君はキャプテンをやっていて、俺は選ばれなかった。
ベースボール、なんて言っているからだろうか。
好きな映画。
君はホラーで俺はサスペンス。
生きるだの死ぬだの、本気で考えていないくせに。
今の仕事。
どこにでも嫌や奴はいるもんだ。
だって、まわりを見渡せばこんなに人がいるんだから。
将来の夢。
夢って言うか、いつか結婚はしてみたいな。
君は照れながら言う。
俺の夢は恥ずかしくて言えなかった。
ずるいよ、なんて君が言うから。
なんとなく、それっぽいこと言って誤魔化した。
これまで君といろんな話をしてきた。
真面目なことも、くだらないことも。
それなのに、結局。
肝心なことはなにも話せないでいる。
君にはまだ話せていないけど。
数年後、十数年後、数十年後。
どれだけ歳を重ねても。
君とこうやって話せていたらいいな、と思う。