いろんなものに邪魔される。
最終のバスも電車も行っちゃった。
もう今日は会えないんだね。
君は今なにをしてる?
きっと俺の知らない表情をしているのだろう。
俺はひとり、部屋でからだを震わせることしかできない。
バスも電車ももうないけれど、車は持っている。
タクシーでだって行けるし、自転車でだって頑張れば行ける距離なんだ。
それでも今日は君とはもう会えない。
明日の朝がやってくるまで、俺は秒針を数えることしかできない。
時間は誰にでも平等っていうけれど、それはきっと嘘だ。
君に会えないときはなかなか時計の針が進まない。
でも君に会えたときはすぐに時間が経ってしまう。
そうしたらまた時計の針が進まなくなるんだ。
君のことを考えていると、なかなか眠りにつけない。
なにをしてる?
君はもう眠っているかな?
寝るのは早いって言っていたから。
時間は誰にでも平等っていうけれど、それはきっと嘘だ。
いつから恋は早い者勝ちになった?
君ともっと早く出会っていれば、こんなこと考えることもなかっただろうに。
どうすることもできないのか。
どうにかしてもいいのか。
俺には正解がわからない。
そんな簡単な問題じゃないんだ。
どこにも正解が載っていないから。
部屋で目を閉じ、君を想う。
出てくる君は笑っている。
笑顔が眩しい。
薬指につけた指輪が眩しい。
一緒に笑う男とお揃いの。
ふたりのあいだには小さな男の子と女の子。
四人で手をつないでいる。
バスも電車もなくたって、俺は君に会いに行ける手段を持っている。
自転車でだって行ける距離だ。
それでも今日はもう君と会えない。
明日になれば君に会える。
明日になれば何事もなかったかのように「おはよう」と言い合う。
「昨日さー……」
君の話を聞くのは楽しいけれど、辛いんだ。